静岡県三島市の藤岡武雄先生から第12歌集を頂戴した。有難うございます。 1926年山口県に生まれて現在97歳、作歌83年、渾身の第12歌集である。 堂堂たる作品の詰まった歌集のカバー装画は、1940年横山大観「海に因む十題 海調べ四題 春」より、間村俊一氏の装幀による。 夕やけの空にいくつも魚泳ぐその底に立つ吾は何者 藤岡先生の自選5首を、帯より引用して紹介しよう。 平凡な一日と云へど現はれしひばりにのりて天空の夢 亡き父の大島紬の羽織り出し身丈のあへば父と歩むも 離れ住む孫とは二年逢へずして隣の犬とほほゑみ交はす 砲撃の刹那の映像 七十年前のわが身に迫りし実弾 立ちかへれ理性のもとにたちかへ…