管賀江留郎氏の冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのかを読んだ。この本の内容を一言でいうなら、「なぜ冤罪は起きるのか」という事なのだが、その部分に直接的に言及しているのは約600ページある本文中の13章の約90ページで、では他の約510ページは何について書かれているかというと、かって静岡県内で起きた複数の冤罪事件についての発端・経緯・結果についての詳細な記述なのだ。著者の意図としてはそれらの冤罪事件を語ることで、なぜ冤罪が起こるのかという事を補強しようとしたのだろうとも読めるのだが、だがそのように単純に考えていいものかという気もする。というのも文庫版あとがきで著者は本書を「『白鯨』や『黒死館…