たとえば、事情があって仕事を休んだ日、自分の仕事は誰かがやってくれているだろうか、隣の席の人は心配しているだろうか、と思ったことはありますか? 学校を欠席したら、友達は寂しがるだろうか、とか、家出をしたら、家族はどれほど心配するだろうか、困ってしまわないだろうか、そんなふうに考えたこと、誰しもあるのではないでしょうか。自分がいるはずなのに、いない空間、こっそり覗いてみたくなりますよね。ナサニエル・ホーソーンの短篇「ウェイクフィールド」(Wakefield , 1835 )は、そんなお話です。この度、柴田元幸訳で再読してみました。痛快な読み心地で面白かったです。 アメリカン・マスターピース 古典…