■『こころの病いときょうだいのこころ : 精神障害者の兄弟姉妹への手紙』(滝沢武久著、京都:松頼社、2017)より。手紙に答える形での質疑応答から抜粋しておく。 Q「医師や支援者からは症状が安定してよくなっていると聞きましたが、発病前とはほど遠く、もどかしい思いがします。本人に多くを求めすぎなのでしょうか?」 A: 私もソーシャルワーカーになってから、家族やきょうだいの方からよくこのような意見を聞きました。たしかに、家族・きょうだいからすれば、発病する前の元気な本人に戻ることが「病気が治る」ことだと考えるのは、私にもよくわかります。一方で、医師や支援者は、本人が医療・福祉にかかってからの関係で…