熊野古道には多くの参詣路がある。嘗て皇族や公家が京都から船で淀川を下り、大阪天満で上陸の後、紀伊路を和歌山の紀伊田辺へと南下し、更に中辺路を東へと進み熊野本宮大社に至るルートがメインであった。今回私は伊勢神宮参詣者が更に熊野速玉大社へと向かった庶民の歩いた三重県側の伊勢路を選んだ。時間に制約の無いので、ついでに逆コースながら大阪まで歩こうと意気込んで出発した。ところが、連続する峠越えが影響したか、日常性が付き纏う国内のせいか、中辺路の滝尻王子で歩きを中断しバスで紀伊田辺に出ることとした。14日間約300kmの歩き旅であった。 5月25日、紀伊田辺からは急遽ご褒美のぶらり旅に切り替えた。紀伊田辺…