高校を卒業したあと朝昼夜とバイトばかりしていたけれど、ようやく友人の紹介で神田神保町にある児童書の出版会社に就職できることになった。 それまでは何のコネもなく、実績もなく、新卒でもなく、ビジネスに役に立つ勉強もせずの就職活動は見向きもされない人材だったから、落ちまくり落ち込みまくりだったので救われた。 昔々のオフィスはパソコンもなく、隅っこのほうに電算機と呼ばれるコンピュータというには原始的なデータ入力の専門機が置いてあってそこに決まったデーターをひたすら棒うちしていた。 オフィス内は自分の机の上で喫煙ができて、みな盛大に灰皿の吸い殻を山にしていた。 あの時はそれが日常だったので全員副流煙を毎…