いろいろと状況を知っている彼はそれでも多くを語らず、 「こうじさんの大好きな鰻、目の前で焼きますよ」 そんな連絡だけで夏の素材を感じにこちらへ。 ひとりカウンターに座り、大将が紡ぐ世界に入ってゆく。 生しらす、赤クラゲ、ズッキーニ、とうもろこし、鯨ベーコン。 夏を味わいながらビールを飲んでいるとカウンター越しに小気味好い骨切りの音。 こんな音もひとり飲みならではの悦び。 何も出しゃばらないすべての調和、鱧のお椀。 本当に気持ちにまで優しく入ってくる料理。 心ほぐれて、佐藤の黒をやってると。 珍しい鮎の刺身。 あゆは「香魚」とも書くように刺身で食べるとその意味がよくわかる。 グラスの酒がなくなる…