続けて博多座夜の部を観劇。こちらも入りは昼とあまり変わらず、大入り満員と云う訳ではなかった。しかし舞台は実に素晴らしいものだった。その感想を綴る。 狂言立ては昼と逆で、幕開きにメインの『御浜御殿綱豊卿』。幸四郎の綱豊卿、歌昇の助右衛門、米吉のお喜世、笑也の浦尾、壱太郎の江島、猿弥の勘解由と云う配役。当代綱豊卿と云えば、何と云っても松嶋屋である。次期将軍としての大きさ、そして天下一品の謡うがごとき名調子、正に国宝級の名品である。幸四郎は父と並んで松嶋屋を尊敬しているのだろう。「伊勢音頭」の貢同様、こちらも松嶋屋直伝である。 松嶋屋は綱豊卿について「内匠頭を愛している。それにつきる」と云っていたと…