夜中の避難小屋の中。続き。 シロクンヌ 「少し長い話になるぞ。 あれはおれがまだ20歳の時だ。 タビンドとしても、まだ駆け出しだな。 カワセミ村を訪れたのは、その時が二度目で、村の衆ともそこそこ打ち解けていた。 カワセミ村を最初に訪れた時に、ひと月ほど滞在して、狩りや漁を手伝ったからな。 熊を仕留めて、喜ばれたりもした。」 ミツ 「熊刺しって技を使ったの?」 シロクンヌ 「そうだ。 ところで、桐(キリ)という凄く軽い樹があるんだが、ミツは知っているか?」 ミツ 「知らない。サチ、知ってる?」 サチ 「知らない。タカジョウは?」 タカジョウ 「知ってるよ。釣りのウキに使ったりするな。 薄紫の綺麗…