『芥川龍之介短篇集』 ジェイ・ルービン編 村上春樹序 新潮社 本書の編者・ジェイ・ルービンは冒頭に書いた「芥川龍之介と世界文学」という概説の中で、「地獄変」について《芥川の作品の中で一編しか後世に残せないとしたら、この作品だろう》と評価しています。私は後期の傑作「歯車」とこちらと、どちらを選ぶかだいぶ迷ってしまうと思います。ルービン自身も同文で《「地獄変」が芥川の初期の傑作ならば、後期の傑作は間違いなく「歯車」だ》と断言しています。小説の書き方のスタイルがまったく異なるので、甲乙つけがたいとも言えます。 mori-jun.net 本記事タイトルに「地獄よりも地獄的な」とつけましたが、これは芥川…