羽幌炭鉱

『随想』『調和 門間政一』音のなく静かに初雪がふる」地上の一切の汚濁を清浄な白毛に覆つて呉れる。我々は此の光景を美しいと思う」然し之が二尺三尺と積雪し時には風速も加わり一切の地上の美を暗夜の如くし去りし後の除雪に一苦労する。その時今迄美しいと思つた雪がひどくひくらしく見える。それは人間の得手勝手な心の表れだとも云えます。大自然は常に正しい公平を求めている。例えば人間の身でも二つの道具と一つの道具があり、両眼、両耳、両手、両足の様にそして一つしか無い道具は鼻、口、咽喉と縦に真中に並べておいてあります生と死右と左女と男思えば自然は正しい釣り合いを望んでおります。相反するものや相対立したものが調和し…

『赤ちやんの視力 はつきりするのは四ケ月後』●三時間後に光を感じる。赤ちやんの眼はいつ頃から見えるようになり、視力がハツキリしてくるか、知つておくと生育ぶりをみるにもおもちや等を選ぶにも参考になります。赤ちやんは、生れて三時間もたつと光を感じるようになります。これは明るい光に会うと瞳孔が細くなるのでわかります。二週間もたつと明暗がはつきりわかるようになります。それでもこの頃は或物をしつかり見つめるとか、物を追うという眼の運動はできません。●二ケ月後に動くものを目で追う。物を見つめるようになるのは、一ケ月過ぎてからです。天井からセルロイドの花車などぶらさげておくと、喜んで見ているようになるのは丁…

『にしんあれこれ談議（その一）』本年も沖上音頭に沸るニシン場が来たがニシンの語源については昔からカズの子、白子の二親あるところからニシンといゝ二身にさいて身欠きにするからニシンというとあるが何れも当てにはならない。又ニシンは東から回游するから鰊と書き昔は食膳にのせず専らカス肥料にのみしたからニシンは魚でない。即ち鯡という当字が生れたという。ニシンがいつ頃からとれたかは知る由もないが文献によると明治以前は新潟近海でもとれたと記されさらに朝鮮でもとれているところから留萌地方の老人の中にはニシンはいまでも朝鮮沿岸から日本海を北上して本道に群来すると信じている者がある。しかし学者の説によるとこれは間違…

『一時間に二十万枚も 七色同時に刷る輪転機』『工務局』次に記事を活字にする工務局は活版、印刷の二部に大別され活版は植字、文撰、解版、鋳造の四つに別れ、また印刷は印刷、鉛版、紙型、電気の四部門から成り立つている。この外写真を銅版にしたりカツトを作つたりするため写真製版部があるが、編集の整理部の手を経た記事はそのまゝ活版に送られ活字になおされるが、熟練工になると文章を綴る位のスピードで活字が拾われ文章に組み立てられて行く。これが一旦編集に戻つて校正され記事締切定刻と共に大組が行われ大組の大刷りが再び校正されてOKとなると今度は紙型に廻される。こゝで特殊圧力機械によりこれまた特殊の厚紙に大刷り活字そ…

『新聞は斯うして作られる』一口に新聞といつても日刊、夕刊、隔日刊、週間、旬刊、月刊、不定期刊など多種多様またその性格も国の内外ニユースを報道する新聞から業界紙、機関紙、宗教紙、学校新聞、芸界通信、と誠に賑やかである。報道中心の新聞は本道の場合北日、道新、北タイなどで業界紙といえば林業新聞、工業新聞、機関紙は社会党の社会新聞、日共のアカハタそれに築炭ニユースもこの中に入る。宗教紙は本願寺新報とか神社新報、キリスト新聞など学校新聞は各大学、高校中学新聞や普通の新聞社で発行している中小学生新聞などがあり芸術新聞に至つては映画界、音楽界の新聞はもとより池の坊新聞、茶道新聞のはてまである。その他まだまだ…

『坑内を見学して 太陽中学三年 門戸正宏』僕達は十二日の坑内見学に新第一斜坑に行きました。案内者は小島さんと川口さんで一番最初に切羽に案内してくれました。そこの道は木材がバリバリと折れた小さな所で僕達は四馬になつてはつていつた。二、三〇米入つた所にやゝ広い所に出た、そこが切羽で長さ約十米ぐらいの炭層で横から堀つて来たところはみんな材木や石などで止めてあつた。こゝの石炭ももう少しでなくなると案内者は説明してくれました。こゝの切羽の石炭がなくなつたらすぐ下の方にこゝの切羽と同じような所があり今そこにとりかゝつているそうです。僕はこゝの切羽を見てつくづく感じた。それはこゝの坑内が本坑と全く変つている…

『深海の魚 光を出しておよぐ』海の中に光がさしこむのは海上から二百メートルの深さまでゞ、それより深くなると光がとどかないので、いつも夜のように暗いのです。千メートル以下の深い海の中は、一寸先もみえないくらやみで、水温もちようど真冬のような寒さです。摂氏一度から五度くらいで、ずい分冷い水です。五百メートル深さといえば、深海の上部にあたる所ですが、こゝにはクロコザメがいますし、六百メートル深さにはサクラエビがいます。目玉の大きい赤いアコウダイは五百メートルから九百メートルの深さがすみかですし、アブラガレイも三百メートルから千メートルの深さにすむ魚です。ある学者が深海探検をしたところが、千メートル以…