私はべテルの街中を人垣をかき分けながら、興味深げに歩いた。テコアの牧歌的な所から出てきた私にとって、目まぐるしいく騒がしい町だった。絶えず荷車が行きかい、旅人が右往左往していた。在住の人々は気軽な服装で闊歩して、姦しかった。そのわきでは、地面に座り込んで、垢にまみれた手を差し出して、憐みを乞う人の姿が目に付いた。べテルの町はその日、聖なる「祭りの日」だった。 べテル神殿へ続く参道は人で溢れかえっていた。供え物を調達する人々が、羊やハトなどが並ぶテントの前に群れていた。 私は、腹ごしらえをすますと、べテルの門に続く町の広場に向かった。人の出入りが一段と激しくなった。片隅では、幾人かの老人たちが、…