えっ、 神様はあの男を許されるのですか?エリヤは神様の懐の深さに感動し、カァーと丹田が熱くなった。 異教の妻の言いなりになり、偶像に染まり切ったどうしょうもない男。その男が今、見栄も誇りも打ち捨て、着物を引き裂き、ぼろを身にまとっていた。食を断っていた。 焦燥しきって、髪も髭もぼさぼさだ。落ち窪んだ目の周りに出来た大きな隈。不眠に悩まされている証拠だ。 これが数日前に会ったあの男か? エリヤは目を疑った。 男の名はアハブ。イスラエルのれっきとした王である。 数日前、 エリヤは神の言葉を携えて王のもとを訪ねた。エリヤがアハブ王に会う時はいつも、神の言葉を携えていた。それも、彼を不機嫌にさせる言葉…