ある日の午後、16時半の診療終了時間後に1週間前からの咳の訴えで患者さんが飛び込んで来ました。50代の男性で過去喫煙者、痰は少なく、熱はなく、既往や咳の性状、随伴症状など原因を示すような特異的なことはありませんでした。聴診でも異常呼吸音はなく、SpO2(指で計る血中の酸素飽和度、コロナ下で一般の人も通販サイトで測定器=パルスオキシメーターを購入した方も少なくないと思います)の低下もありませんでした。ご本人も咳は辛くなく、多少気になる程度とのことでした。出始めから1週間の咳は急性の咳に該当し、最も多いのは感染性の咳とされています。臨床推論ではhassle bias(ハッスルバイアス=自分が最も楽…