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脱ゴーマニズム宣言事件

(社会)
だつごーまにずむせんげんじけん

小林よしのり著『ゴーマニズム宣言』を批判した書籍『脱ゴーマニズム宣言』(上杉聰著)の発刊を巡って争われた日本の事件。漫画において引用が認められる範囲について明確な基準を引き出した事件。

内容

『ゴーマニズム宣言』の絵を含む漫画のコマを引用として採録していることが著作権の複製権侵害に、採録されたコマの一部が改変されていることが著作者人格権の同一性保持権の侵害に当たるので、55件の採録と5件の改変は違法である点と、 題名に『ゴーマニズム宣言』の語を使用していることは不正競争防止法違反であるとして、1997年12月25日に『脱ゴーマニズム宣言』の販売差し止めと慰謝料を求めて東京地方裁判所に提訴した。

結果

2000年2月24日、東京高等裁判所は著書の出版差し止めと慰謝料20万円の支払いを上杉側に命じる判決を出した。ただし、その他の請求については棄却、仮執行宣言も必要なしとされた。判決内容は、争点の大半、55箇所の引用と4箇所の改変を適法とし、ただ1箇所、編集上の都合でコマの配列を変更した点を同一性保持権の侵害(引用自体は適法)としたものであった。したがって、当該箇所さえ再編集すれば販売の再開が可能であった。また、敗者負担が原則の訴訟費用で、その250分の249を小林側の負担とした[3]。 控訴審判決を巡っては、双方が自らの勝訴を主張する声明を発表。国内の主要な新聞においてもどちらが勝訴かで判決翌日の報道が分かれ、朝日新聞や読売新聞は上杉側の勝訴と報道したのに対し、産経新聞や毎日新聞は小林側の逆転勝訴と報道した。

2000年6月13日、上杉側が最高裁判所に上告。小林側は、新ゴーマニズム宣言内で、全創作者の権利のため漫画引用の是非を問うと称しながら、出版差し止め自体は認められたことで「目的は果たした」と上告せず。

2002年4月26日、最高裁判所は上杉側の上告を棄却する決定を下し、出版差し止めとした控訴審判決が確定した。 なお、現在販売されている『脱ゴーマニズム宣言』は裁判で違法とされた箇所が修正された修正版である。修正に伴う内容の変化は無い。

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