井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(23) 今回は、第2章 エゴイズム 第4節 ディケーの弁明 2 普遍化可能性 の続き(p.78~)である。(D:正義論者、E:エゴイスト。緑字は傍点の代わり) 第3の疑問 Eが提起する第3の疑問は、「なぜエゴイストは当為言明を使用しなければならないのか」である。 E:エゴイストはそもそも当為判断をする必要があるのか。命法を使用して指図するだけでは、なぜダメなのか。*1…同様の二つの状況について正反対の二つの命法を発しても、普遍化可能性には触れない。従って命法だけで済ましていれば論理的矛盾を犯しているという批判を受けずに済む。だとすれば、なぜエゴイスト…