『走る詩人』加澄ひろしです。 詩誌『詩人会議』11月号の投稿欄に掲載していただいた作品です。 「風騒ぐ」 風騒ぎ 梢を揺らす枝に茂る 無数の葉が吹かれて震えて 躍っているわたしは その樹の陰に腰かけて風の行くえを 追いかけている しずかに 音を立ててそよぐ風夏にほてる からだを抜けて木漏れ日のひかりに 揺すられて生きる幸せに 満たされる 太い枝も 細い小枝も上下左右に 揺れながらリズミカルに 幹を揺すって明日への通り路を 教えてくれる 大きな葉も 小さな葉も梢の枝を はなれる日まで萌え出た場所に しがみついて力いっぱい その手をひろげ短い命を よろこび歌う なぜ人は 時を急いで生きるのだろう翠…