「適当のススメ」と題名をつけたいくらいの話を今回も続けたい。適当に描くことは、とても大切であるという話を前回にした。それを具体例を見ながらよりはっきりさせたいと思う。上に掲載したのは、モネの1880年作の「ヴェトゥイユ近郊のフルール島」。明るい日差しの清々しい景色がとてもリアルに感じられるいい絵だと私は思う。この絵をよく見てみよう。 画面の下半分を前景の野草が覆い尽くしている。モネはこれを非常に適当に描いているが、適当さの具合が絶妙である。どこがそんなに上手いかというと、まず白い花の描き方だ。白い花と書いたが実際は花かどうかも判然としないけれども、そんなことはどうでもよくて、白い花のようなもの…