私が小学生だった時、とある店の商品棚に縦横10㎝、高さは15㎝くらいの箱に「くろう」と書いてあるのがひとつあった。値段は1,000円だった。「若い時の苦労は買ってでもせよ」という諺を知っていたので、中に何が入っているのかとても気になった。1個しかなかったので売れたらどうしよう。夜寝ていても、授業中も「くろう」の中身が気になって仕方がない。どうしても「くろう」を買いたかった。 自分はまだ若いので「くろう」を買ったら、きっと良いことがあると信じていたのだ。自分の小遣いでは全然足りなく、家は貧乏なので親に言っても無理だった。「くろう」を買うことができなかった。私は悪い悪いと思いながらも「くろう」の箱…