ウクライナに侵攻したロシアに対する経済・金融制裁を受けて、ロシア通貨ルーブルが急落し、一方で 金きんの国際価格が高騰している。これまで人類が長い歴史のなかで掘り出した金はオリンピックプール3杯分しかないという。希少だからこそ価値があり、日本でも江戸時代まで金は最上位の貨幣として使われていた。 希少であることは貨幣としては弱点でもある。経済活動が活発になっても、金の産出量は急には増やせず、モノやサービスより貨幣価値の方が高くなる「デフレ」が起きやすい。だが、貨幣の供給量が金や銀の産出量に縛られていた江戸時代に、デフレからの脱却に成功した天才官僚がいた。元禄時代に勘定奉行を務めた荻原重秀(1658…