外海に出ると漁船は太平洋のうねりに揺れに揺れた。 わたしは最前列に陣取って、船は嫌だという相棒を気遣う余裕はなかった。 とても照準を合わせるどころではなかったが、ガイドが指示する方向にカメラを向けて闇雲にシャッターを切った。 エトピリカさえ見れればよかったが、まだ今季は見たものはいないとのことだった。 ケイマフリだけは飛び立つまで時間があったが、近くではファインダーに入りようもない。 良いタイミングと思ってもうねりの底にすぐ隠れてしまう。 ちらと見た相棒は青い顔をしてカメラを上げる気配もない。 下船して聞くとやはり吐いたらしい。 踏ん張って揺れを楽しむ若者を羨むことしきりだった。 もう一つクル…