新古今和歌集 巻第六 冬歌 631 題知らず 皇太后宮大夫俊成 かつ凍りかつは 砕くる山川の 岩間にむせぶ 暁の声 歌詠 多岐都 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者 峯村文人 小学館)の訳 題知らず 皇太后宮大夫俊成 一方では凍り、一方では砕けて流れる山川の、岩の間にむせび泣くように聞こえている、暁の声よ。 意訳 題詞 文治六年(一一九〇年)、大神宮・賀茂・春日・日吉・住吉の五社に奉納されました百首のうち、日吉大社に奉納された「氷」の題による一首でございます。 作者 藤原俊成(ふじわらのとしなり)(皇太后宮大夫、僧号:大師俊成) 一 文治地震を詠まれた歌 文治元年(一一八五年)、世に未…