前回の記事の続きです。 「戦争まで」(加藤陽子著、朝日出版社)には、リットン報告書が出た後でも、日本が国際連盟から脱退しないですむ方法を提案しています。結論から言うと、そんな方法はあるわけがなく、満州事変を起こした時点で、日本にできることは国際連盟を脱退する時期を先延ばしする程度でした。 上記の本では、アメリカに蛇蝎のごとく嫌われて、戦後も当然のようにA級戦犯被告にされた松岡洋右が、なんと「国際連盟から脱退するな」「国家の前途のために妥協しろ」、と日本政府に打電していた事実を示しています。 松岡は「連盟の面目が立つように、事実上、本件(満州事変)から連盟が手を引くように誘導する」という本国から…