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虚体

(読書)
きょたい

埴谷雄高の文字通り「畢生の大作」であるところの『死霊』には勿論出て来るのだが、まだ『不合理ゆえに吾信ず』には――少なくともその言葉としては――出て来ていない、謎多き概念・観念であるが、そもそも概念或いは観念であるとも言い得ないものであって、そういってしまったら、それは或る種ひとつの実体として存在化してしまうと想われるからである…と言ってしまえばこれもまた一つの存在であるに違いないのであり…かくて無限へ…「と言ってしまえばこの責苦!」(このフレーズは前出『不合理ゆえに吾信ず』から採ることが出来るものです。)*1
また因みにこの虚体を、例の例えば「國體護持」と言われるときの國體(国体)という国家観的観念へ関連付けて考える視点も既に誰かが提出している様だが、筆者はこれについては遺憾ながら、未見である。

*1:この点に関して、恐らく『死霊』第3章「屋根裏部屋にて」の中の黒川健吉の言葉は、随分と参考に資するものと見做されうるだろう。即ちそこで彼はこの三輪与志が考えていると想われる限りでの虚体について、実体とは反対の概念であると言っているだけではなしに、「実体と決定的に反対する概念」と言えるだろう、と言う主旨のことを言っているのである。

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