原文では「きょじつひにくろん」と振仮名が振られている。近松門左衛門の演劇理論で、真にすばらしい演劇を作るのに、ウソ(虚)とホント(実)の間にこそ、美味しいところがある、という論理。近松に私淑して近松の脚本作成に参画していたともいわれる穂積以貫が近松の死後に刊行した「難波土産」(なにわみやげ)によって知られるところとなった。近松自身が書き残したものではない。
虚(うそ)にして虚にあらず、実にして実にあらず、この間に慰(なぐさみ)が有るもの也