戦闘で負傷した自衛官への輸血用に、防衛省は10年間冷凍保存できる凍結赤血球製剤の製造・備蓄の準備を着々と進めている。2022年に閣議決定された安全保障関連3文書の防衛力整備計画に沿う動きで、南西諸島の態勢強化の一環でもある。不戦を願う思いとは裏腹に、実際の戦場を想定し「戦争できる国」への取り組みが加速している。(奥野斐) ◆戦闘が始まれば「前線に行き渡らない」懸念 防衛省によると従来、戦傷者への輸血用血液製剤は日赤から調達する方針だった。ただ実際に戦闘が始まれば血液製剤が前線に行き渡らないのでは、などといった懸念が省内にあったという。 こうした背景から、22年12月改定の防衛力整備計画は「自衛…