女性への興味に薄かった。好意を向けられて感謝こそすれ、そこから恋愛に発展することはついぞなかった。物心つく前から家族ぐるみで付き合いがあった幾人かの幼馴染がすべて女性であり、そういった関係性ゆえに女性への庇護欲、保護欲を拗らせたものなのか、自分で分析することもあれば、幼馴染から肩を竦めて評されることもあった。もしかすると自分は「そちら側」なのかもしれない。その可能性に思い当たったのは高校生の頃。風紀委員会で親しくしていた後輩男子から想いを告げられたことがきっかけだった。だが、アーチャーがそれでも首を横に振ったのは、男性への興味もとんと持ち合わせていない自覚があるからだった。弓道部の部室で惜し気…