日経新聞「私の履歴書」の8月は北岡伸一東大名誉教授だった。 特命全権大使、国連代表部次席代表、国際協力機構(JICA)理事長もつとめた珍しい政治学者、歴史学者である。 「実務の世界を知らないで、本当に政治や外交分析や提言ができるだろうか」「一定の期間、しかし本気で実務の中に入ることが、一番良いように思った」。 この履歴書は「学者が政治と学問のあるべき関係を求めて模索した記録だ」と位置付けている。 東大の日本政治外交史の講座は、吉野作造から始まって、岡義武、三谷太一郎と続き、北岡が4代目である。明治維新以来の近代日本が現代日本にを分析するための枠組みになっている。「すごい変革」、「愚かな侵略」、…