西暦800年、カール大帝は教皇レオ三世よりローマ皇帝としての帝冠を受ける。ここからすべては始まった。さあ、初めての宗教国家の誕生だ。といってもカロリング朝はいわば他民族国家、それをどのように統一してゆくのか。そこでカール大帝は聖歌の一本化を目論む。その頃のカロリング朝にはさまざまな民族によるそれぞれの聖歌が存在した。ローマ聖歌、フランク人たちのガリア聖歌、スペインからもたらされたモサラべ聖歌、他にも東方教会聖歌、アビシニア聖歌、ビザンツ聖歌、アルメニア聖歌、打楽器を用いたコプト聖歌ってのもあるよ。その中で最後まで統一聖歌の座を争ったのがローマ聖歌とガリア聖歌だ。どちらを統一聖歌として選ぶのか、…