《春という言葉が持つ響きとは裏腹に、中東は今日もアラブの春が残した内戦やイスラム過激派の台頭、それに伴う経済の悪化に苦しむ。世界はこの間、テロの拡散や難民の増加など、脅威は中東だけの問題にとどまらないことを目の当たりにしてきた》(12月19日付日本経済新聞社説) 10年前にアラブの民主化運動は「春」ではなくむしろ「混沌」の序章であるといった警告を行っていたというのならいざ知らず、当時はアラブ民主化運動を褒め称(そや)し、今になって客観を装い分析を施すのは無責任である。 《各地で長期独裁政権が崩壊した後、人々が期待した民主化は実現しなかった。それどころか主導権をめぐって争う様々な勢力を、米国やロ…