旧聞に属する話で恐縮だが、「行政改革会議」最終報告(1997(平成9)年12月3日付)に次のような文言が出て来る。 《われわれの取り組むべき行政改革は、もはや局部的改革にとどまり得ず、日本の国民になお色濃く残る統治客体意識に伴う行政への過度の依存体質に訣別し、自律的個人を基礎とし、国民が統治の主体として自ら責任を負う国柄へと転換することに結び付くものでなければならない》(はじめに) 気になる部分が2つある。1つは<統治客体意識>なる特殊用語であり、もう1つは<国柄>の転換である。前者は後回しにして、後者から見ていこう。 《国柄というのは人々の共有する慣習への同調の態度をさし、個性というのはその…