ひとの写っていない写真を見てあんなにも心が動かされたのは生まれて初めてだった。 写実性に技術力は感じられても芸術性を見出すのが苦手なわたしは普段から抽象画が好き。一見しただけではなんだかわからないもの、正解にたどり着く道のりが長かったり複雑だったりもはや存在していないような表現を共有してもらうときにこそ、芸術を楽しませてもらっているなと思える。明らかではないものを見ているのにときめいたり心に引っかかったりする感覚は 他の誰でもなく"自分"として生きている確信を得られるようで、自分の主観や視点の輪郭をくっきりとなぞれているようで、生きた心地がする。 だから写実性どころか現実を切り取る形で芸術とさ…