母と年金事務所へ行きました。父の年金支給差し止めと、母が受給できる遺族年金の手続きのためです。 年金事務所のガラスの自動扉に、手を繋いだ母と私が映りました。腰が曲がった隣の母を見て、わたしは思わず「なんて小さいんだろう」と驚きました。子供の頃、授業参観で母が来てくれたとき、他のお母さん方の中で一番きれいで、背筋がスッとのびている立ち姿が誇らしかったものです。その母の姿はもうありません。 年金事務所の相談窓口で、担当の方が説明してくれている間、母は心ここにあらずと言った表情で、焦点の合わない目でボーッとどこかを見ています。つい、説明しても分からないかなと思うのと、急いでいるというのもあり、母を蔑…