最近、『ハッピークラシー――「幸せ」願望に支配される日常』(みすず書房,2022年)を読んでいて、はたと気づかされたことがある。それはその本の原注 p16(第二章 脚注60)に書かれていたのだが、概ね次のような指摘である。社会が生きづらくなればなるほど自己閉塞的にサバイバリズム(=生き延びること)に執着していく傾向にあり、《サバイバリストの自己啓発書がサバイバリズムや冒険や助言の裏で提示するのは、個人的な充足へのこだわり、内省、そして「ただやりすごしたり、生き残ったり、社会的圧力から完全に抜け出したりする(楽な)作戦」という条件つきで夢を追求することを組み合わせた個人主義的なビジョンだ》…。 …