拘りより勝利を 【寸評】 彼はリーグを代表する捕手であった。 強肩強打の捕手で大学リーグの通算ホームラン記録を打ち立てる。 プロ入り後も左打席から繰り出される強烈なスイングで観るものを魅了し、ホームラン王を2回、首位打者1回、打点王1回と栄誉を手にした彼がまだ手にしていない物がリーグ優勝であった。 プロ8年目、心技体が充実しチームも好調の中でその悲劇は起きた。 ある試合で新人投手の初勝利が掛かる展開の守備で、彼はファールフライを取りに行こうと飛び込み右半身からグラウンドとフェンスの境い目に激突。 右の肩腱板断裂と右足首の骨折の大怪我を負う。 担架で運ばれる彼は己の身体に起きた事と、チームに起き…