今回は、吉野靫『誰かの理想を生きられはしない―とり残された者のためのトランスジェンダー史―』(青土社、2020)について書いていく*1。この本の感想はいつかきちんと書きたいと思っていて、メモを取り始めたのはだいぶ前なのだが、完成までだいぶ時間がかかってしまった。結局ざっくりまとめるだけになってしまい、あまりきちんと書けなかったが、もっと多くの人に読んでもらうためには、不完全なものでも、とにかく人の目に触れるところに感想を置くしかない。本は思ったよりすぐに流れ去ってしまうものである。 本書は、クィアとは何か、ということを私に叩き込んでくれた本である。詳しく言うと、(性)規範とは何か、その規範を支…