裏庭 梨木香歩 「これは、レベッカの造りだした庭です。私は最初から——幻の王女の跡を辿(たど)ってここまできたのです。私には、私の世界なんてないんです」 「道がないのだから、ある程度先人の跡を辿るのはやむを得ますまい?使えるところは使い、使えないところは新しくしていく。何も更地にしなければすべてが始まらないわけでもないのですよ。この世界はすでにあなたの庭。けれどもまた、同時に別の人の庭であることも始めています」 心配しなくても、先に進めば見つかります。 苦労して悟(さと)りを見つけても、すでにお釈迦様やキリストや偉人たちが、自分と同じような悟りを見つけてることが、ふつうにあります。 そんなこと…