1988(昭和63)年9月、中国の寧夏回族自治区を10年ぶりに訪れた。区都銀川の西側を南北200キロにわたる賀蘭山中に沢山の古い“岩画(岩壁絵画)”があることが知られている。日本では一般的に“顔面画”と呼ばれているようだが、中国では“岩画”と表記されている。 賀蘭山の西夏陵碑を背にする筆者 その日の朝は快晴で、標高3,556メートルもある嶺々にはすでに初雪があった。私は自冶区文物古考研究員衛忠氏の案内で、銀川から北西に80キロ離れた山中にある賀蘭ロヘと向かった。4、5日前のめったにない大雨によって洪水となり、道は谷間の出口ごとに決壊しており、車で2時間以上も要った。 樹木の生えていない岩山の幅…