レンブラントの生涯と作品を追う本篇とレンブラントの実像にいくつかの角度から迫る資料篇の二段構成からなるコンパクトでありながら充実した導入書。本篇を執筆したのがフランスの作家、小説家、美術評論家であるパスカル・ボナフーで、レンブラントの起伏の激しい生涯をレンブラント伝説といわれるものを核として逡巡なく書き上げている。他書に比較すると研究書的な厳密さに欠けているところもありそうだが、素描・版画・油彩のすべてに目くばせのきいた豊富で適切なカラー図版とともにレンブラントに関する基礎的情報を取り込みやすく、なにより読みやすいところが良い。日本版監修者による資料篇では、ドラクロワとゴッホのいくつかのレンブ…