佐伯地方は山が蝟集している。山は海に達しリアス式海岸を造形している。その地勢は耕作地に乏しい地であった事を示す。生きるにはとても厳しい。ただ海を介しての外部との交流だけは古くより活発であった。 一方、土地が限られているとは言え人々はこの海岸沿いに点在する島には積極的に入植しようとは考えなかったようである。山や岬を切り開く方が未だましだと考えた(かどうかは定かではない)。 佐伯地方には、海岸の北側からかつて佐伯藩に属した保戸島、佐伯湾に大入島、大島、南に下がって蒲江地区に屋形島、深島、の中小の島がある。これらの島に本格的に人が住むようになったのは江戸時代前後からではなかろうか。佐伯藩がこれらの島…