身内を特別扱いした厨房係を責めるつもりはない。だれもが遅かれ早かれ生死の分かれ目に立たされるという状況で友達を優遇した人間に、だれが石を投げる気になるだろう。石を手にするなら、自分がその立場だったらやはりそうしないだろうか、と胸に手を当てて考えてからにするべきだ。 ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』 私たちは普段の生活において口や態度には出さなくても息をするように人のことを責め立てていることが多い。 なんであの人はああなんだろう。 なんでこの人はこうなんだろう。 まったくわかってねぇなー。 私だったらこうするのに。 そうして他人を責め立てることによって「わかっている自分」、「優秀で善良な自…