またくもの季節となった。 くもが部屋にやってきて、うろうろしている。 どこへでも行くがいい、と思っている。 くもたちは案外かしこい。ぼくに踏み潰されたりしないように生きている。2,3年一緒に暮らしてみて、それがわかってきた。今年はより自由に過ごせばよい。ぼくも前より気にしなくなった。 本の背表紙の一文字となったり、壁の画鋲みたいになったり、すればいい。 でも客が来た時は、隠れていてくれよ。驚かすといけないからね。 ぼくは化物と暮らしている気持ちになった。 不快なやつでなければ、そういうものと暮らすこともできるだろう。 すべてのくもと一緒に暮らせるわけではない。あしながぐもや、大きい巣をつくるや…