今後の日本農業の発展、いや存続のために欠かせない条件がある。それは、有機農業スペシャリスト、有機農業コーディネーターの存在である。 私は2011年から10年間、農水省が行う全国の農業改良普及指導員を対象とした「有機農業研修」の講師を務めてきた。それ以前から都府県各地の普及指導員と接触する機会が多々あり、そのたびに切歯扼腕してきた。大げさなようだが、日本の農業衰退の原因の一つを見る思いだった。 何が残念だったか。現場指導のスペシャリストであるべき普及指導員の篤農技術の無知にだ。全員がそうだとは言わない。経験豊かで知識豊富なベテランもいるが極めて少なく、そうしたベテランは減る一方だ。自分で作物栽培…