京都の町中では、路地(ろーじ)とか辻子(ずし)とか呼ばれる、家と家の間に通じる細い道をよく見かける。幕末に刊行された書籍(京羽津根)には、91ヶ所もの辻子が紹介されている(京都検定公式テキストブックの受け売り)。 路地と辻子の違いには諸説ありそうだが、通り抜けることのできるのが辻子、行き止まりになるのがろーじだと思っている。僕の小さい頃には近所にもたくさんあり、よく遊んだものである。長じて、町家が取り壊されるとともにろーじや辻子も姿を消していったが、それでもまだかなりの数が残っているのではないだろうか。 その内の一つが、この膏薬辻子である。四条通新町を西に行き、郭巨山の会所の手前を左に折れたと…