「不快なものには近寄らない、危険であれば逃げていく。この単純きわまる行動原理こそ、高い移動能力を発達させてきた動物の生きる基本戦略である。 しかし、快なる場所に集まる動物は、そのためしだいに多くなり、ついに、あまりに多くなってしまえば、この楽園の食料も乏しくなり、そして排泄物に汚れた不快な場所に変わるだろう。侵入してくる他の動物を追い払って縄張りを主張することも、また多くの動物社会に見られることである。 サルや類人猿たちは、あまり大きくない集団を作り、一定の遊動域のなかを移動して暮らしている。集団を大きくせず遊動域を防衛することで、個体密度があまりに増加するのをおさえ、そして頻繁に移動すること…