第6章 すっぽかし: 「天地玄黃、宇宙洪荒。日月盈昃、辰宿列張。寒来暑往、秋收冬藏。閏餘成歲、律呂調陽……。」 頭を振りふり、朝読書の時間に、名堂からもらった《千字文》を唱和し始めて半月がたったころ、段岭は大半の文字を読めるようになっていた。先生が戒尺でその中の一句を指すと、段岭は音読する。別の一句を指され、また読む。また別の一句を指される。 「これは何という字だね?」先生が問う。 「君です。」段岭は背筋をぴんと張って答える。 「これは?」先生が問う。 答えられないと、先生は戒尺で掌を叩いた。段岭は声を出さないようこらえたが、掌がじーんと痛んだ。(まじ?厳しすぎ。あ、でも読み方一つだし、部位で…