岩波文庫187ページ「正当恁麼時(しょうとういんもじ)、あるいは虚空(こくう)にかかり、衣裏(えり)にかかる、あるいは頷下(がんか)にをさめ、髻中(けちゅう)にをさむる、みな尽十方世界一顆明珠なり。ころものうらにかかるを様子(ようす)とせり、おもてにかけんと道取することなかれ。髻中頷下(けちゅがんか)にかかるを様子とせり、髻表頷表(けひょうがんぴょう)に弄(ろう)せんと擬(ぎ)することなかれ。醉酒(すいしゅ)の時節にたまをあたふる親友あり、親友にはかならずたまをあたふべし。たまをかけらるる時節、かならず醉酒するなり。」 まさにそのような時、明るく輝く珠は空間にあり、着物の裏にあり、あるいは龍の…