岩波文庫183、184ページ「いま道取(どうしゅ)する尽十方世界是一顆明珠、はじめて玄沙にあり。その宗旨(そうし)は、尽十方世界は、広大にあらず微小(みしょう)にあらず、方円(ほうえん)にあらず、中正(ちゅうしょう)にあらず、活鱍々(かつぱつぱつ)にあらず露廻々(ろういうい)にあらず。さらに、生死去来(しょうじこらい)にあらざるゆゑに生死来去なり。恁麼(いんも)のゆゑに、昔日曾此去(しゃくじつぞうしこ、昔日は曾(かつ)て此(ここ)より去り)にして、而今従此来(しきんじゅうしらい、而今は此より来る)なり。究辨(きゅうはん)するに、たれか片々(へんぺん)なりと見徹(けんてつ)するあらん、たれか兀々…