2321、わざみ4柿本人麻呂研究-古代和歌文学の成立-、神野志隆光、塙書房、1992.4.20神野志氏のこの著は有名なものであり、今もなお影響力があると思うので、とりあげた。といっても、高市殯宮挽歌の作品論はなく、天皇神格化表現とか人麻呂の表現の獲得、といった主題に関して論究されるだけで、和※[斬/足]の行宮はもちろん、不破山越えの矛盾や、戦闘場面の虚構といったことも論じられない。それでも一世を風靡した論考だから、見ておく価値はあると思う。まず引用。 持統朝が天武朝をうけてそうした「小帝国の完成をはたそうとしたということだと考える。 「小帝国」の完成がまさに顕現されていく持統朝の時代状況ととも…