けっしてメジャーなレパートリー作品とはいいがたいふたつの演目を抱き合わせた、意欲的なプログラムが新国立劇場のオペラのラインナップにならんだ。ストラヴィンスキーの『夜鳴きうぐいす』とチャイコフスキーの『イオランタ』である。 ともにロシアの作曲家のオペラというのみならず、アンデルセンの童話を原作にしているという点でも共通点がある。また、物質的なものにたいする精神的なものの優位というロマン主義的かつ反唯物論的な主張が、(これがきわめて特異なことではあるが)キリスト教的な影響のほとんどない世界観のなかでえがかれているというポイントにおいても、じつはテーマをおなじくしていると言える。このふたつの演目を選…